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会長のご挨拶

会長 宮田 昌司

去る、6月13日会員総会後の理事会にて会長として理事の皆様のご承認をいただきました。任期2年間について、あらためて訪問リハビリテーションの発展や協会運営について力を尽くしてまいりたいと思います。会員はもとより内外の関係される多くの皆様のご指導やご協力を賜りたいと思います。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
   さて、ご挨拶を兼ね、昨今の情勢と訪問リハビリテーションについて所感を述べさせていただきます。
   世の中を見渡しますと、新型コロナウイルスの感染拡大とその影響においてはまだまだ、油断の出来ない状況であるといえるでしょう(2020年6月末現在)。ワクチンおよび治療薬などが開発され、このウイルスを意識せずに安心して生活できるようになるまでには、まだまだ時間がかかることと思います。そこで我々の領域のことに移して考えてみたいと思います。
   私たちの生活は安定した基盤があってこそ、繁栄・発展していく、または日々の困難にも対処していけるのだ、ということに気が付きます。少々、苦しいことがあっても、足元がしっかりしていれば困難への挑戦する力が出るというものですが、今回はその足元が揺らぎ、とても困難な状況に追い込まれました。
   世の中の賢人と言われるような方々は、この場におよんで、「コロナ前とコロナ以後では世界の様相は全く変わる、違った価値観、違った生き方、違った生活の営みで世界は動いていくだろう」そのようなことを言っています。果たして本当にそのようなことになるのでしょうか。そして我々の行う訪問リハビリテーションも同様に適用される考え方でしょうか。
   たとえば、我々が対面せず、接触せず専門性を提供することが可能なのでしょうか。例えば、訪問療法の一部として、一定の環境下、リモートなどの方法で助言・指導などは必要であるし可能だと思います。しかし、人間同士のふれあい方や関係性の作り方を、急に変えることができるのでしょうか。私たちはご高齢の方々には、今まで培ってきた生活背景や歴史、なにより、その生活のリアルな場面においてともに考えて提案していくからこその効果があると考えて提供してきましたし、医療的ケアの必要な小児、精神を患っている方々に直接的な対面の対話・身体接触を含むコミニケーションおよび施術(セラピー)の提供がなしで効果的なサービスが出来るとは到底思えません。これは提供側だけの問題ではなく、受け手(利用者さん)との双方向の相互作用によって効果が生まれるものだからです。ですから「訪問リハビリテーションの本質は変えることはできないもの」と思っています。
   とはいえ、コロナ禍は訪問を一時阻む、慎重に訪問するなどの事象は訪問現場では多々経験されたことと思います。このように我々の仕事の必要性・順位づけは厳しく問われることになり、そこが、あらわになったことは受け止めねばなりません。コロナ禍前後でも本質は変わらない、しかしその本質を損ねずサービス提供していく方法があるのかどうか、それは療法士1人1人が考えていく局面に立たされているように思います。当協会はそのような、療法士提供サービスについて、会員の皆さんと共に考えていく姿勢を貫いていくつもりです。また、協会の提供するサービスも再考していくべく理事一同一丸となって対処してまいります。
   なお、新型コロナについては、まだまだ分からないことが多くあり、全体像が見えていないように思われます。これからの、研究によってはコロナの違った一面が提示されるかもしれません。
   私たちが本当に大事なことは何か、見えていない部分がどのぐらいあってそこについて、どのような心構えで考察し対処するかなのでしょう。しかるべき機関の提言は尊重すべきものだと思いますが、自身がしっかり受け止める。考えなしでうけとめるのではなく、自身が考えていることと、しっかり照らしあわせて受け止め、行動につなげる。そんな態度が必要なように思います。
   最後になりますが、利用者方々はもちろんのこと、訪問最前線の皆さん、どうかご自身のお体をご自愛ください。

2020年初夏
会長 宮田 昌司